SONGS

 

  続いては、「Yume」の楽曲について掘り下げていきたいと思います。「Yume」は理由のないコンセプトアルバムです。歌詞が直接的に繋がっている訳ではありませんが、ぜひ一曲目から最後の曲まで通して聴いて頂きたいです。



1. Prologue  

作曲 ロマンチック☆安田


   この曲は1分程度のインストです。HOT CAKEのスタジオでセッションしていたところ、安田のギターのルーパー(弾いたフレーズを録音してループ再生するエフェクター)の中で面白いループが出来ていたので、それをアナログテープに取り込み、ピッチを手動で変化させたものです。


  それにキーボードや効果音を足したものが、この曲となります。ふわふわしています。80年代のカルトな宅録音源的なイメージで作りました。



2. Flavors 

 作詞・作曲 ロマンチック☆安田


  安田が初めてHOT CAKEを意識して作った曲です。3人がボーカルをとる曲を作ろうと思いました。この曲ではベース・ミュージックなどではよく使われる音をウネウネさせるテクニックを、生楽器のオケにぶち込みました。たくさんの音が入っています。地味にサンプリングなども使われています。


  やり過ぎを目指した結果、やり過ぎた曲。星野によるボーカルがイケてます。



3. Apartment 

 作詞・作曲 梅津拓也


  こちらはすいみん不足時代に作られた曲のうちのひとつです。実はこの曲の発端は2018年の春、梅津と安田がセッションライブを行った際にできたフレーズからきています。すいみん不足すら結成する前の時期です。そのモチーフを発展させ、歌をつけたものがこの曲です。


  実はHOT CAKEで梅津が使用している楽器は厳密にはベースでは無く、BASS VIというバリトンギターの派生です。BASS VIによるベースアルペジオがこの曲のテーマであり、ついに日の目を見たプレイヤーとしての梅津の真骨頂ともいえます。


  この曲から、HOT CAKEメンバーが大好きな「アウトロ長い地獄」が始まります。このバンドの醍醐味はアウトロにあると、一同自負しております。



4. Empty Cup 

 作詞 ロマンチック☆安田 作曲 梅津拓也


  この曲は8分を超える長作のアンビエント・チューンとなります。この曲のモチーフは、梅津によるノイズプロジェクト「梅津オールフリー」で演奏されたタイトルのない曲になります。


  それを気に入った安田がぜひアレンジしてHOT CAKEで演奏しないかと持ちかけたところ、またしてもベースアルペジオが追加されたデモが送られてきたのです。デモにはこの曲のボーカル・メロディーがピアノで入っていたのですが、その美しさに星野と安田は感動しました。


  この曲のみ、リズムトラック録音時に体育館が使えず、教室での録音となっております。かのベースアルペジオを録音する際、一人で好きにやったらいいんじゃないかと星野と安田は席を外しました。しばらくして教室に戻ると、窓を開け放ちながら恍惚なサウンドを発する、黄昏の梅津がいました...。


  曲の後半では、安田が赤羽の高架下にて録音した電車の音や、山形の風の音が入っています。また、この曲のみ一切キーボード、シンセ類はダビングされていません。



5. Park

 作詞 星野未緒 ロマンチック☆安田  作曲 梅津拓也 ロマンチック☆安田


  ラストを飾るこの曲も、すいみん不足時代に作られた一曲です。梅津と安田のメインボーカルがバトンタッチするこの曲は、それぞれが自分で歌っている部分を作曲しています。


  歌詞は何度も変更されるなど難航しましたが、最終的に星野と安田の共作に落ち着いています。「Yume」の中では一番スタンダードな形のポップスになっています。やはりこの曲もアウトロが長いです。


  HOT CAKEの三人はもともとロックバンドで演奏してきました。今作ではロック要素が少ないように感じるかもしれませんが、この曲のアウトロに私たちのロックが詰まっています。





「Yume」に明確なメッセージはありません。なんとなくムードを感じてくれれば幸いです。